2段式ペルチェ素子

当社がペルチェ素子の開発を行うきっかけとなったのは、某ペルチェ素子製造メーカーよりスケルトンタイプの素子の組み立て方法を確立するように委託を受けて研究開発を実施したことです。 素子の組み立てには半導体の知見も必要であり、ペルチェ効果やゼーベック効果についても調査しました。

その結果、当時のペルチェ素子に関して問題を感じるようになり、自社での開発を開始しました。 問題を感じたのは、効率の悪さ。 当社が開発の主眼としたのは効率を上げると言うよりも、効率よく使えるペルチェ素子の開発でした。 ペルチェ素子は投入した電力が少ない方が効率が上がると言う点に着目し、多段モジュールの開発に取り組みました。 

当時は既に多段モジュールは各社で製品化されていましたが、セラミック基材を介して多段化していたため、セラミック基材での熱抵抗が大きく、温度差は大きくとれるものの吸熱量が小さいモジュールが殆どでした。 当社は中間基材のセラミックの代わりに薄膜の特殊な接合構造を開発して、最大温度差は90℃に達するが、吸熱量は大きく、更に省電力タイプとしても使用できる2段式ペルチェモジュールを製品化しました。*特許登録済み

2段式ペルチェ素子

マグネチックヒートポンプ

マグネチックヒートポンプとは、磁性を有する液体(磁性流体)を作動媒体として、磁力の温度依存性を利用し熱を移送する素子です。 宇宙空間では太陽光が当たる面と影となる部分の温度差が極端に大きく、人工衛星などではタンブリングさせないと熱で歪んでしまいます。 そのような理由から熱を移動させて均熱化を図る必要性が生じるためNASA等で研究されてきました。 しかし、短時間で熱は移送可能であるものの,連続的に動作させることは困難でした。

当社が開発したマグネチックヒートポンプは温度差が生じると磁性流体の高温側は磁力が低下し、低温側の磁力が強くなることを利用しています。 具体的には磁性流体の流路に磁石を配置すれば、磁化値の差から低温の磁性流体が磁石に近づき、高温の磁性流体を磁石から遠のけます。 この作用により、温度の高い磁性流体は温度の低い磁性流体により磁石より連続的に磁場周辺から追いやられるため、流路を閉ループにすると磁性流体は循環することになります。 発熱体と放熱部にまたがりマグネチックヒートポンプを配置すると、発熱部で加熱された磁性流体は放熱部で冷却された磁性流体により磁場から押し出されるため、発熱体の熱を放熱部に連続的に運ぶことができます。 *特許登録済み 参考文献あり​

マグネチックヒートポンプ

ゼーベック素子

某電力会社よりゼーベックモジュールの開発委託を受け、複数社と低温で熱電変換効率の高いモジュールの開発に取り組みました。 当社が提案したのはP型半導体とN型半導体の接合部分に絶縁層を挟む構造でした。 もともと、ゼーベックモジュールはソーラセルとほぼ同じ構造で、大きな違いは中性半導体で構成されたI層がP型半導体とN型半導体に挟まれた構造を有する点です。

開発のヒントとなったのは、私が東京大学大学院工学系研究科航空宇宙専攻中須賀研究室の共同研究員をしていた当時に聞いた話から得たものです。 宇宙でソーラセルが寿命を迎えるときに一瞬、高い効率を発揮してから壊れる事があることを聞きました。 そこで、私なりに考えたのが、P型半導体とN型半導体を接続するI層に数㎛ 程度の真空ギャップが生じて、真空中の放電のような電子の流れが生じた事によるものではないかと仮説を立てました。

ゼーベックモジュールのP型半導体と電極の間に20㎛ の絶縁層を構成して実験したところ、温度差30℃ 程度で起電力が生じました。 絶縁層を50㎛ まで厚くすると温度差が75℃ 程度で起電力が生じて温度スイッチのような動作を示しました。 その際の起電力は電圧が高く、それに伴い電流も増加しました。 低温域でも効率の良いゼーベックモジュールの試作に成功しましたが、自社での製品化は設備面などの問題があり留保しています。 *特許登録済み​

ゼーベック素子